私はWiMAXを契約していますが、時間や場所によっては電波がつながりにくいことがあります。
とくに通信状態が悪いのが自宅です。WiMAX 2+、WiMAXの圏内ですが、窓のない部屋にルーターを持っていくと、アンテナがまったく立たないこともあります。
WiMAXの電波が良くなる方法はないか調べていると、お金をかけずに簡単に作れるパラボラアンテナで、WiMAXの受信感度を高めることができる方法を見つけました。
本当に効果があるのか、さっそくチャレンジしてみました。
パラボラアンテナとは?
パラボラアンテナは、電波を集めて遠くに飛ばすときに使われるアンテナです。街でよく見かける、おわんの型をしたやつです。衛星や海外に電波を送るパラボラアンテナには、直径30メートル以上の巨大なものもあります。
まずは、パラボラアンテナの仕組みを簡単に説明します。
電波はパラボラアンテナの中に入ると、入ってきた角度と同じ角度で出ていこうとします。そのときにすべての電波が必ず、ある同じ一点を通過します。この点を焦点といいます。この電波が一点に集中する原理を使って電波を効率よく受信し、送信するときは強くて真っ直ぐな電波を押し出す、これがパラボラアンテナの仕組みです。
ちなみに「パラボラ」とは、放物線という意味です。
パラボラアンテナがおわんの型をしていることで、上のイラストのように電波を一点に集中させ、集まった電波を一定の方向に送信することができます。この電波が焦点に集まる原理を、WiMAXの電波受信に応用してみようというわけです。
WiMAXの電波の特徴
WiMAXの電波は、スマホの4GやLTE回線よりも高い周波数の帯域を使用しています。高周波数の電波は通信速度が速く、大容量のデータ通信に向いていますが、直進性が強く、障害物に当たると反射しやすい性質があります。
これが、WiMAXが建物内でつながりにくい理由でもあります。詳しくはこちらのページで紹介しています。
»建物内でもつながるモバイルWi-Fiルーターはどれ?
直進性が高く通信速度が速いというWiMAXの性質は、電波を反射させて一点に集中させるパラボラアンテナの原理を活用しやすいのです。
では、WiMAXの受信感度がアップするか実験開始です。
パラボラアンテナの作り方
作り方は簡単です。キッチンにある金属製のボウルを用意し、近くにモバイルWi-Fiルーターを置きます。
ボウルとルーターを少しずつ動かしながら、電波が集まる場所を手探りで見付けていきます。作業的に難しいことはありませんが、ベストな位置を見つけるのに意外と時間がかかりました。
このポジションで測定します。
ボウルに入ってきた電波が上手く、ルーターの位置に集まってくれるといいのですが…。
パラボラアンテナは本当に効果があるのか?
パラボラアンテナをつける前の数値
パラボラアンテナをつける前の速度は、下り2.80Mbps、上り1.37Mbpsでした。
パラボラアンテナを設置したら、これより速くなるでしょうか?
パラボラアンテナをつけた数値
■ 1回目
下り4.63Mbps、上り3.03Mbpsです。
予想していた以上に速くなっています。これはパラボラアンテナ効果なのでしょうか?
もう一度測定してみます。
■ 2回目
下り3.10Mbps、上り0.36Mbpsです。
さっきよりは遅くなりましたが、下りのスピードはパラボラアンテナをつけないときよりも速いです。
念のため、もう一度測定します。
■ 3回目
下り4.51Mbps、上り2.07Mbpsです。
2回目よりは速い速度が出ました。
自宅で下り4Mbps以上の速度で使えるなら、上出来です。
測定結果から感じたこと
測定結果ではパラボラアンテナをつけたほうが、通信速度は速くなりました。
アンテナとルーターを感覚的に置いただけの自作パラボラアンテナでは数値にバラツキがあり、この実験をもって「効果アリ」と断言することはできませんが、電波を集めるパラボラアンテナは十分に納得できる原理なので、正確な距離を計算して行えばWiMAX電波の受信度を高めることは可能なのかもしれません。
自宅でWiMAXの通信状況が安定しないという人がいれば、ぜひやってみてください。
最後に余談ですが・・・
パラボラアンテナの実験をしていて、1つ思い出したことがありました。
ガリレオの映画版「真夏の方程式」で、湯川先生が携帯をアルミホイルで包んで電波を遮断するというシーンがあったのです。 ためしに自分のスマホでやってみると、電波がまったくつながらない状態になりました。
この方法が役立つシチュエーションはまったく思いつきませんが、
実におもしろい!